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長崎地方裁判所佐世保支部 昭和50年(わ)94号 判決

本店の所在地

長崎県佐世保市下京町八番四号

法人の名称

ニユー銀座商事有限会社

代表者の住居

同県佐世保市下京町八番四号

代表者の氏名

郭章黄

代表者の住居

同県佐世保市下京町八番四号

代表者の氏名

本山好子

本籍

同県佐世保市下京町七三番地

住居

同県佐世保市下京町八番四号

会社役員

郭章黄

大正一四年四月二〇日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件につき、当裁判所は検察官堂ノ本眞出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告ニユー銀座商事有限会社を罰金三〇〇万円に、被告人郭章黄を懲役五月にそれぞれ処する。

被告人郭章黄に対し、この裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告ニユー銀座商事有限会社および被告人郭章黄の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告ニユー銀座商事有限会社(以下被告会社という)は、長崎県佐世保市下京町八番四号に本店を置き、遊技場(パチンコ)経営を目的とする資本金二〇〇万円(昭和四七年一一月一三日に五〇〇万円に増資)の有限会社で、被告人郭章黄(以下被告人郭という)及びその親族がその全発行済株式を有する同族会社であり被告人郭は右会社の代表取締役として代表取締役本山好子に代り同会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上伝票の改ざんを行つて公表帳簿上の金額を過少に計上するなど不正な方法により簿外預金を秘匿したうえ、昭和四七年六月一日より昭和四八年五月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が別紙(一)修正損益計算書記載のとおり六、一一一万八、八一九円であつたのにかかわらず、昭和四八年七月三一日佐世保市木場田町二番一九号所在の所轄佐世保税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一、六四二万六、五〇九円であり、これに対する法人税額は四七二万二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて別紙(三)税額計算書記載のとおり、同会社の右事業年度の正当な法人税額二、一〇八万三、八〇〇円と右申告額との差額一、六三六万一、〇〇〇円を逋脱したものである。(本件の逋脱所得の内容は別紙(二)記載のとおりである。)

(証拠の標目)

一、 被告人郭の当公判廷における供述

一、 本山好子の検察官に対する供述調書および同人の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、 松尾義憲の検察官に対する供述調書

一、 岡田雅雄、岩吉勝代、末竹あや子、藤田正武(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、 佐賀銀行佐世保支店長北村祥造作成の「証明書」と題する書面(添付の普通預金元帳写七葉を含む。)

一、 佐賀銀行佐世保支店次長藤田正武作成の「証明書」と題する書面(添付の入金伝票等写六葉を含む。)

一、 佐賀銀行佐世保支店長松信良章作成の「照会に対する回答(対五〇年四月三日付年第六三〇号)」と題する書面(普通預金元帳写を含む。)

一、 大蔵事務官作成の青色申告の承認の取消決議書(謄本)

一、 大蔵事務官作成の法人税決議書(謄本)

一、 大蔵事務官作成の修正申告書(謄本)

一、 国税査察官作成の昭和四九年九月一八日付「調査報告書」と題する書面(四通)

一、 押収してある総勘定元帳一綴(昭和五〇年押第二九号の一)、金銭出納簿一冊(同号の二)、売上伝票(四七、七月)一綴(同号の三の一)、同(四七、八月)一綴(同号の三の二)、同(四七、九月)一綴(同号三の三の三)、同(四七、一〇月)一綴(同号の三の四)、同(四七、一一月)一綴(同号三の五)、同(四七、一二月)一綴(同号の三の六)、同(四八、一月)一綴(同号のの三の七)、同(四八、二月)一綴(同号の三の八)、同(四八、三月)一綴(同号の三の九)、同(四八、四月)一綴(同三の一〇)、同(四八、五月)一綴(同号の三の一一)、同(四七、六月)一綴(同号の四の一)、同(四七、七月)一綴(同号の四の二)、同(四七、八月)一綴(同号の四の三)、同(四七、九月)一綴(同号の四の四)、同(四七、一〇月)一綴(同号の四の五)、同(四七、一一月)一綴(同号の四の六)、同(四七、一二月)一綴(同号の四の七)、同(四八、一月)一綴(同号の四の八)、同(四八、二月)一綴(同号の四の九)、同(四八、三月)一綴(同号の四の一〇)、同(四八、四月)一綴(同号の四の一一)、同(四八、五月)一綴(同号の四の一二)、日計表(四七、六~四七、八本店)一綴(同号の五の一)、同(四七、六~四七、八会館)一綴(同号の五の二)、同(四七、九~四七、一一本店)一綴(同号の五の三)、同(四七、九~四七、一一会館)一綴(同号の五の四)、同(四七、一二~四八、二本店)一綴(同号の五の五)、同(四七、一二、四八、二会館)一綴(同号の五の六)、同(四八、三~四八、五会館)一綴(同号の五の七)、同(四八、三~四八、五本店)一綴(同号の五の八)、景品受払明細簿(四七、六~四七、九本店)一冊(同号の六の一)、同(四七、六~四七、九会館)一冊(同号の六の四)、同(四七、九~四七、一二本店)一冊(同号の六の三)、同(四七、九~四七、一二会館)一冊(同号の六の四)、同(四七、一二~四八、四本店)一冊(同号の六の五)、同(四七、一二~四八、四会館)一冊(同号の六の六)、同(四八、四~四八、五本店)一冊(同号の六の七)、同(四八、四~四八、五会館)一冊(同号の六の八)、記録ノート(冒頭記載+540)一冊(同号の七の一)、同(冒頭記載+1100)一冊(同号の七の二)、同(冒頭記載+960)一冊(同号の七の三)、同(冒頭記載+440)一冊(同号の七の四)、同(冒頭記載-3400)一冊(同号の七の五)、パチンコ機械入替事績一枚(同号の八)、記録表一綴(同号の九)、沖、伊東、佐野、大石、中村名義の認印五個(同号の一〇)、事業年度分の確定申告書(四七、六月~四八、五月)一綴(同号の一一)

一、 被告人の検察官に対する供述調書(四通)および被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(七通)ならびに被告人作成の「確認書」「売上除外金の処理について」「簿外定期預金の設定について」と題する各書面

(法令の適用)

被告人郭の判示所為は、法人税法一五九条一項に、被告会社の判示所為は、同法一六四条一項、一五九条一項に、それぞれ該当するところ、被告会社については、本件においてその免れた法人税の金額が五〇〇万円を超えるので、情状により、同一五九条二項を適用してその免れた税額に相当する金額二、一〇八万三、八〇〇円以下において、被告会社〓金三〇〇万円に、被告人郭については、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期の範囲内において被告人郭を懲役五月に、それぞれ處し、被告人郭に対しては、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人ら両名の連帯負担とする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 吉武克洋)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和47年6月1日

至 昭和48年5月31日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二)

逋脱所得の内容

自 昭和47年6月1日

至 昭和48年5月31日

△は所得の減

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

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